きえるあひる 作 なつめよしかず 出版 福音館書店
おかあさんあひるの後ろをよちよち泳ぐ4匹のあかちゃんあひる。
少しずつ遅れて離れていく赤ちゃんあひるの後ろを、何かを狙うようにつきまとう黒い影。
一匹ずつ姿を消していく赤ちゃんあひる、迫りくる黒い影、あひるの親子の運命は如何に・・・
対象年齢としては、とっても低年齢向きです。
乳幼児向けの絵本というのは、全体的にふわっとしたイメージと言うか、楽しい雰囲気、かわいい雰囲気で、不条理なものもあるけどあまりとんがったストーリーってのはイメージにありません。
この作品は、言ってみれば「乳幼児向けサスペンス」とでもいいましょうか。
かわいいあひるのお話だと思って読んでしまうと、ちょっとびっくりします。
実は、オチとしては、こわいところなんか1ミリもなくって、ほのぼのして終わるので安心なのですが、幸せな日常に忍び寄る不気味な黒い影的なものがうまく描かれているように思います。
鬼やオオカミのように、シンプルに怖いものに怯えるのではなく、不気味な影に怯えるような状況を幼児向けの絵本に導入するというのは、なかなか新しい気がします。
ラストの直前に、橋の下に隠れたシーンで画面が暗転するところなんか、さらに不安をあおってきててすばらしいです。
これ、うまく読んだら子供なんかはすっごい怖がるんじゃないでしょうか。途中で泣くかも? 幼児期の自分は読み聞かせされたら耐えられないかもしれません笑
コレ本気でよんだらどうなるのかなーと思うのですが、あまり小さい子だけのところで読むこと無いからなぁ・・・小さいお子様がいらっしゃる方は、ぜひ全力で読んでみて、どんな反応を示すか教えて下さい。