へっこきよめさま 文 令丈ヒロ子 絵 おくはらゆめ 出版 講談社

むらのあにさまに嫁入りした娘は、きれいでやさしくて、しかも働き者。でもそのよめさまには、重大な秘密を抱えていました。「ずっとへをがまんしてるんです」と恥ずかしそうに話すよめさまに「いっくらでもしたらええ」と答えるかかさま。しかし、かかさまを屁でふっとばしてしまい、よめさんは里に返されることに・・・

日本昔ばなしでもおなじみだと思います、へっこきよめさま。

絵本でもへっこきよめさま、へっこきよめ、へっこきよめどん、屁ひり嫁、などいろんな呼び方で本がでています。

その中でも、もっともかわいい絵柄といえるのがこの「へっこきよめさま」です。

昔話っぽくない現代風のかわいいキャラクター、表紙はおならをするために裾をまくりあげているところなんですが、なんだかミニの浴衣をきているみたいですよね。

よめさまは、里に返される道すがらに出会った様々な問題をおならでププッと解決、いや、ぶぼぼぼーんと解決。

おならの勢いで、柿を落としたり、船を渡したり、かわいい絵柄からは考えられない、轟音のおなら。
おならのシーンなんかは、読み聞かせ向きに考えてあって、お上品な口調からのページをめくって「ぶぼぼぼーん」なので、上手に読めばめちゃめちゃ受けそうです。

ちなみに、作者の令丈ヒロ子さんは、「若女将は小学生!」などで人気の作家さんです。ここらへんは大人よりも読書好きな子供のほうが食いつく情報なのかもしれません。

「この本、なかなかおもしろいじゃん」と最後まで読んで、あとがきを見て衝撃をうけました。

「嫁姑問題は、現代位でもドラマになるほどですから」で始まり、「嫁の辛い現実を笑い飛ばし、若い嫁の「真の実力」を語るという意味もあったのでしょう」などと、ライトな楽しい話で終わるかと思いきや、なかなか重い話が語られています。

なるほど、そういうスカッとする話だからこそ、世の母親が語り継いだということなんでしょう。うーん、深い。

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