ゆうだち 作 あきびんご 出版 偕成社

ゆうだちにあって困っていたヤギを家に招き入れたオオカミ。
親切でしてくれたものと思っていたのが、実はオオカミは食べるつもりで誘い込んだのだということを知ったヤギは恐怖に震えながら三味線を手に歌を歌い始めます。
「ゆうだちがきたらおかしくなる」「むしゃくしゃして変になる」と三味線をかき鳴らしながら歌うヤギは、歌いながらどんどん様子がおかしくなっていきます。狂ったように弦をかき鳴らしながら「オオカミを食べる」と歌うヤギを前に、オオカミは怖くなってとうとう逃げ出してしまいます。

あきびんごさんの作品なのですが、イラストの迫力がほんとうにすごいです。

オオカミを怖がらせるために歌っていたはずなのに、だんだん本当に様子がおかしくなってくるヤギの姿は、一度見たら夢に出てきて寝られなくなりそう。

最初は、オオカミがビビってるとわかって調子に乗ったのかもしれません。それでも狂った演技を命がけで続けていくうちに、演技なのか本当に狂ってしまったのか、自分でもわからなくなるくらいにヤギが狂っていくのは、なんというかサイコホラー感が満載です。

もともとはトリニダード・トバゴの昔話だそうです。オオカミではなくライオンだったそうです。日本の南の島を舞台に置き換えたとのことです。沖縄よりも南の方、なんとなく宮古島くらいのイメージかな?

「ゆうだち」というタイトルは、ゆうだちの雨宿りから始まったお話だということももちろんあるのでしょうが、天気の急変と、ヤギの様子の急変もかけているのではないでしょうか。

ざーーーっと雨が降ったあとには、穏やかな島が戻ってきたのと同じように、狂ったように暴れまくったヤギは、正気を取り戻してオオカミの家から逃げ出すわけです。

さっきまでの状況が嘘のように穏やかになるということからしたら、「ゆうだち」というタイトルはなかなかぴったりではあるのですが・・・なんだか穏やかすぎて全体的な魅力が通じづらい気がします。

もっとこう・・・

「ゲリラ豪雨」

と言いたいくらい。それくらい迫力があります。

よみきかせやってる方はぜひ読んでみてください。髪を振り乱しながら、人が変わったように読んでみましょう。絶対ウケます笑。

ちなみに上の画像からアマゾンのリンクに飛べるのですが、現状在庫ないみたいです。楽天にもないみたい。
なのでぜひ図書館で探してみてください。おもしろいです。

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