かんぺきなこども 作 ミカエル/エスコフィエ 絵 マチュー・モデ 訳 石津ちひろ 出版 ポプラ社

「かんぺきなこども」を求めるマカロン夫妻は、こどもストアーでピエールに出会い、家に迎えることになりました。かわいくって、かしこくって、行儀もいい、マカロン夫妻の失敗のフォローもバッチリという、まさに完璧なこどものピエールですが、ある日、マカロン夫妻の勘違いで学校で大恥をかかされ、とうとう堪忍袋の緒が切れてしまいます。
かんぺきでなくなったピエールを連れて、マカロン夫妻は説明を求めてこどもストアーに向かうのですが、そこで発したピエールの一言は・・・

僕が絵本が好きなのって、遡ると学生時代に、ショートショートにハマって、星新一や筒井康隆を好んで読んでいたというところにあるんじゃないかと思ってます。

短い中にしっかりと前フリがあって、オチがあって、うはー、なるほど、やられたなぁ!とそう思わせるところが痛快だったりします。特に、後から思い出してみて、そうか、あそこはこういう意味だっんだなぁ、なんてところが本当に面白いです。

この「かんぺきなこども」も、近未来の子育てを描いた、上質なSFショートショートといった感じ。
オチがきれいです。このシニカルな感じが、きっとフランス風なんでしょうね。いい具合に皮肉をきかせながらひっくり返してくれます。

ショッピングカートに入れられたピエールが表紙になっていますが、この世界では、子供がほしい夫婦は「こどもストアー」で子供を買うというシステムになっているようです。

もしかしたら、同性婚が進んだ未来というのは、こういうこともあるのかもしれませんね。デザイナーベイビーなんてのが倫理上の問題がありそうですが、「我が国にすぐれた人類を!」なんてスローガンでもうすでに優れた子供の選別を始めている国があるなんて小説はもうすでにありそうです。

子供に過剰に期待するというのは、日本でもフランスでもきっと同じなのでしょう。

そして、子供に過剰に期待をして完璧を求めている自分のことは棚に上げている親が多いというのも、日本でもフランスでも同じなんでしょう。

ぜひ、子供を持つ親世代に読んでほしい絵本です。いや、むしろ大人の方が面白い本かもな、これ。

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