風来坊の子守唄 作 川端誠 出版 BL出版

戦の中で、親と離れ離れになってしまった赤ん坊を助けた風来坊は、赤ん坊の親を探すための旅に出る。3年続いた子連れの旅の中、ふと入った団子屋で目印においてきた木彫りの像を見つける・・・

これはもう、聞くも涙、読むも涙。絵本ですが、子供向けではなく大人、しかも高齢者が好きそうなお話です。

まあまあベタな話になるんじゃないかと思うんですよね。「おまえうまそうだな」の時代劇版みたいな。

「おまえうまそうだな」はウマソウが勘違いでティラノサウルスを親と思い込み、ティラノサウルスも親として育てていく、親子じゃなくても育てていけば親子の絆が生まれてくるのですが、実の親の前にティラノサウルスはそっと身を引いていくわけです。

風来坊も、目印に置いてきた木彫りの像を、団子屋の店頭で見つけ、そっと子供を残して店をあとにするわけです。

そして、ラストシーンでは、走っていく後ろ姿しか見えませんが

「いつもより早く いつもより遠く」走っていくのは、子連れじゃなくなり身軽になった、という理由だけではないのでしょう。ここが後ろ姿である理由を考えてもジーンと来てしまいます。

読み聞かせで読んでいると泣けてしまう、練習で読んでいても泣いちゃう。どうしたらいいのかと思ったのですが、もうコレについては慣れるしかありません。

「おまえうまそうだな」も「あいたくなっちまったよ」も最初は自分で読んでても読めなくなるくらいに泣いてたのですが、「風来坊の子守唄」についてはまともに読めるようになるのにすっごく時間がかかりました。

たぶん、数百回読んでいると思いますが、それでも、未だに油断すると泣けてしまうというのは、ほんとに自分はこういう話に弱いんでしょう。

子供向けの絵本の中にこういうのがあっても、なかなか大人が手に取ることはないように思います。
図書館においてあっても、大人は気づかないかもしれませんね。
結構な確率で図書館には置いてあったりしますから、大人の方も興味のありそうな方はぜひ探してみてください。

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