たぷの里 作 藤岡拓太郎 出版 ナナロク社
どこからともなく現れて、頭の上にお腹をのせていく謎の力士、その名も「たぷの里」
非常に不条理な、ナンセンス絵本です。
子供向けではあるものの、大人向けでもあるような。
果たして、この面白さが子供に理解できるのだろうか?と思うのですが、果たして大人が理解できるのかといわれると、そこもどうだかわかりません。
突然登場して、頭の上におなかをたぷっと乗っけるこの謎の力士は一体何なのだと思っても、結局なんなのかよくわからないままです。目的もわかりませんし、本当に力士なのかどうなのかもわかりません。
しかも、ものすごい真顔で腹を頭の上に乗せるわけです。もうわけがわかりません。
最初から最後までそれだけの絵本でして、どうにもわけがわからないながらも、わけがわからないこそ面白いのかな? わけがわからないながらも面白いのは間違い有りません。とにかくぜひ一度読んでみてほしい一冊です。
Amazonで作者からのコメントが有ったのですが。
大げさじゃなく、赤ちゃんからおばあまで、おかんもおとんも浪人生も笑う絵本を作ろうと思いました。大人になって絵本から遠ざかっていた僕を笑わせてくれた長新太さんの絵本のように、この絵本も色んな人を笑わせてくれればうれしいです。たぷの里の腹を君にものせたい。
裏表紙に対象年齢が書いてあるのですが、「赤ちゃんから君まで」とあります。この絵本を手にとったすべての「君」までが対象だそうです。かっこいい!
そして手書きの読者カードもめちゃめちゃかわいいです。

長新太さんの名前がでてきて、個人的に腑に落ちたポイントなんですけども
最初のページのこのアングル、地平線まで見える広い平地の一本道の真ん中にぽつんといるこの感じ。どっかでみたことあるような、と思っていたんですが

多分、「キャベツくん」のオマージュなのではなんだと思うんですよね。
ちなみに、作者のサイトでは、なんと全ページ公開中だったりします。でも、「たぷ」を存分にたのしむには、本をめくりながら読むほうが断然おすすめ、ぜひ実際に本で読んでみてください。