ねこのセーター 作 及川賢治 竹内繭子 出版 文溪堂

さむがりで、なまけもので、せっかちで、おぎょうぎが悪く、はずかしがりやの泣き虫で、ちょっとだらしない猫は、おおきな穴が2つもあいたセーターを着て、今日もストーブの前でどんぐりに帽子をかぶせる仕事をしています。

大人になって絵本を読むと、ついつい作者の意図を探りたくなってしまいます。

桃が流れてくれば、桃は何故桃なのか? やれ、桃を食べておじいさんとおばあさんが若返って桃太郎が生まれただの、古事記に出てくる鬼を祓った神の実であるオオカムズミに由来するだの、書かれていないからこそ興味をそそるのかもしれませんが、どうにもついつい考えてしまいます。

この「ねこのセーター」でも

なぜ主人公が猫なのか?
セーターの穴は何を意味しているのか?
どんぐりとはなにの象徴なのか?

なんてことを深読みしたくなってしまいそうですが、最後まで読むと、「まぁいいか、そんなこと」と不思議に力が抜ける感じがします。

誰もが読んで「これは面白い!」となるようなタイプの本じゃないです。

多分半分くらいの人からは、意味がわからないと言われそうな気がします。
たしかに、意味わからないし、絵もなんか適当だし、ストーリーもあってないようなもんだし。

このゆるーい雰囲気を、力を抜いて読むことができれば、きっと、おもしろい!と思えるんじゃないかと。

難しいこと考えないで、「ダメダメなねこなんだけどなんだかかわいいなぁ」と思うくらいで十分じゃないかと思います。

ちなみに、絵の雰囲気が違うので、気づかなかったのですが、以前に紹介した「よしおくんがぎゅうにゅうをこぼしてしまったおはなし」の100%ORANGEさんの作品でした。気づかなかった!

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