ケチャップマン 作 鈴木のりたけ 出版 ブロンズ新社

彼の名前はケチャップマン、押せば出てくる真っ赤なケチャップ。自分にしかできない何かを探しながら、ポテトフライの専門店でポテトを揚げる日々。そんな彼の前に、トマト頭のトメイト博士が現れて・・・

僕が絵本を読み漁り始めた初期のあたりに読んで衝撃を受けた絵本です。

あらすじを見て「なんだそれ?」と思った方が多いと思いますが、自分自身読んでみて「なんだそれ?」でした。

手足の生えたケチャップの瓶が主人公で、そのケチャップマンガ八百屋の店先でトマトを手に持っているところが表紙になっており、なんだか影のある、妙にリアルな雰囲気です。

ポテトフライ店でのアルバイト中に客に来たトメイト博士にケチャップを吸われ、挙げ句にトメイト博士は爆発して町はトマトケチャップで溢れてしまいます。

それまで絵本ってなんか「ちゃんとしたもの」というイメージがあったのですが、こんなハチャメチャな設定でもいいんだ!と驚いたのを覚えています。

よく考えてみたら、桃から人が生まれるし、鶴が機織りをするし、垢を丸めたら動き出すし、オオカミだって恐竜だってなんだってペラペラ喋るんです。
小さい頃から聞いてるから、違和感を覚えないだけで、考えてみたらそれも突飛な設定なわけで、ケチャップの瓶に手足が生えてアルバイトするくらいはなんてことのない設定なんでしょう。

絵本ってのは「なんでもあり」なんだ!と思うと、なんだか世界が広がるような気がします。

一番の見所としては、ケチャップを吸ったトメイト博士が不気味に膨れ上がっていき、そして「ばちん」と破裂してしまうシーンでしょう。

破裂の瞬間はかなりやばいです。ゲームだか映画だかは、年齢規制のために、吹き出す血の表現を赤以外に変えているというような話を聞いたことがありますが(真偽はわかりません笑)、頭部の破裂で真っ赤なものが飛び散る瞬間の絵というのはトラウマものでしょう。

ここを受け入れることができるかどうかってのが、これを面白いと思えるかどうかの境目となるんじゃないでしょうか? 万人受けしなさそうですが、一度見るだけでいいので見てほしい絵本です(笑)。

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