ぶたのたね 作 佐々木マキ 出版 絵本館

足が遅い残念なおおかみが、ぶたを食べてみたいと相談したきつねはかせからもらったのは怪しい「ぶたのたね」。半信半疑で育ててみると、なんと木には大量のぶたがぶら下がっていた。

足早くする薬はないけど、育てるとぶたが実る木の種ならある、しかも成長を促進させる薬まで。

果物みたいにぶたがなる木を発明するなんて、どう考えたってそっちのほうが大変な発明じゃなかろうか。そんなの発明できるんだったら足の早くなる薬くらいなんとかなりそうなもんです。

オオカミにしたって、足が遅くて獲物が捕まえられないから、今までやさいと木の実しか食べたことのないということですが、それで生きていけるんだったらもうヴィーガンでいいんじゃないのかなぁと思ったりもします。

そもそも、ぶたが木から生えるというのはどういうことか。はたしてそれは本当のぶたなのか? 木からおちたぶたたちは一斉に逃げるんだけど、一体どこに向かうのか?

いろいろとシュールでおもしろいです。

作者の佐々木マキさんですが、どこかで見たことのあるような絵柄だと思ったらいろんなところで書いてらっしゃるんですね。そもそもは「ガロ」で書かれてた漫画家さんだそうです。

それにしても、最近読む絵本では、まともに強いオオカミなんて全く出てきた覚えがありません。どっか抜けてたりして、まともにエサにありつけたオオカミは見たことがないくらい。

このオオカミといったら、走るのが遅いだけではなくって要領も悪い。
足が遅くて捕まえられないのはまだしも、豚の丸焼きが食べたいからといって、捕まえてから火をおこしたりするもんだから、調理する前に逃げられてしまう。
ちなみに、続編の「また ぶたのたね」「またまた ぶたのたね」でも同じように、丸焼きにしようと火を準備しているところで逃げられてしまいます。調理工程見直しなさいよ、というかもう生で食べちゃいなよ、オオカミさん。

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