バスガエル 作 戸田和代 絵 シゲリカツヒコ 出版 佼成出版社
カエルたちの憧れの職業、それは「バスガエル」。観光バスに乗ったカエルたちは、外の景色よりもバスガエルのうっとりとするような声に夢中になります。
バス会社による新人バスガエルの試験があると聞いて、早く家を出たくてたまらない男の子カエルのクコは、心配するお母さんを振り切って、家を飛び出します。
コロナ前の瑞浪の七夕まつりで見かけた短冊の願い事で
「YouTuberになりたい!」
というのを見かけてびっくりしましたが、きっと今となってはもっとたくさんの子供が憧れる職業になってることでしょうね。
自分の頃は、キャプテン翼が流行ってて、サッカー人気が急上昇してたあたりでしたが、それまでのあこがれの職業=野球選手からサッカーという選択肢ができてきたころだったんじゃないかと。
その後のJリーグの登場なんかを思うと、その頃の子供たちの夢がかなったんでしょうね、きっと。
自分はと言うと、中学は野球部には入ってたものの補欠だったし、高校に入ってやろうなんて気持ちもなかったし、とりあえず進学してサラリーマンになって、くらいのことしか考えてなかった気がするし、実際に市役所入って公務員になって、ということ思うと夢がかなったというのかなんというか・・・ 結局サラリーマンは辞めて大道芸人になってるわけですが笑
カエルの憧れの職業は「バスガエル」です。
憧れの職業という位置づけから考えたら、「バスガイド→バスガエル」ではなく、「バスガール→バスガエル」なんでしょうね。
表紙のタイトルが縦に書いてあって、なおかつエがちょっと縦に伸びてるっぽいフォントを使ってるところを見ても、ガエルをガールに寄せたんじゃないかと想像します。
バスガールというのは、要はバスガイドということなんですが、当時は女性の社会進出の象徴であり、花形といえる職業でした。
大正から昭和40年あたりまで活躍していたということですが、昭和初期には憧れの職業ナンバーワンともいえる仕事で、東京在住で容姿端麗で高学歴などの条件があったにもかかわらず、倍率100倍を超える人気だったそうです。
バスガエルもお客さんに自慢の声を聞かせられるとみんながなりたがる、大人気の仕事なんですが、バスガールはガールしかなれないんですが、バスガエルはカエルであればOK。年齢も性別も関係ありません。
バスガエルになりたい男の子のクコは早く試験を受けに行きたいんだけど、お母さんカエルがいろいろ心配して、なかなか試験会場に迎えなかったりするんですが、あれ? おかあさんカエル? 子供カエル?なんて思ったりしますが、そこはまぁ・・・気づかなかったことにしてください。
カエルにはあまり詳しくないので、なんかの種類のカエルをモデルにしているのかわかりませんが、カエルがリアルというよりも、生えてる髪の毛がリアルで、なんとなく妖怪チックなかんじがかわいいので、カエル好きにもおすすめしたいです。
よーく見てみると、いろんなところにカエルが隠れていて、カエルの服やネクタイの柄がカエルだったり、家の玄関のライトもカエルだし、タンスの引き出しの取手だってカエル。車のバックミラーもカエルだ!と思ったら、絵によって付いてたり付いたなかったりするのがちょっと残念でしたが、いろんなところの書き込みも細かくって、きっと長く楽しめるんじゃないかと思います。
先週買った本なんですが、なかなかおもしろいじゃん!と思って、奥付を見てみたら2013年出版の初版本でした。うーん、もうちょっと売れててもいいと思うんだけどなー。