ねこはるすばん 作 町田尚子 出版 ほるぷ出版

にんげん でかけていった ねこは るすばん
留守番している猫は一体どうしてすごしているんだろう? こっそり様子を覗いてみると・・・ カフェに行って、本屋に行って、釣り堀にバッティングセンターに・・・ 「ねこのるすばん いそがしい」

犬と猫と比べると、間違いなく猫のほうが謎の生き物のような気がします。

犬だったら「まだかな?まだかな?」と待ってそうですが、猫はそこまでシンプルではないように思えます。

ちなみにうちの子(犬)は、僕がお休みのときは、お昼ごはんを食べると、午前中で仕事が終わって帰ってくるおかあちゃんの帰りを、こうやって足の上に挟まってじっと待ってるというのがルーティンです。帰ってくる車の音が聞こえると猛ダッシュで飛んでいきます。

僕がナイトショーで遅くなるときには、おとうちゃんがまだかえってこないよ!とそわそわしているそうで、やはり車の音がすると飛び出してきます。

ひとりで留守番させてもきっとこうなんでしょうね。
まだかな?まだかな?とずっと待ってそうだと思うと、かわいそうでなかなか一人で留守番させることができないという、非常に過保護な育て方をしています笑。

さて、猫はどうなのか?

表紙の猫は上から覗き込んでるように見えますが、ソファの上に立ち上がって、カーテンの隙間からでかけていくのを確認している姿で、シメシメ顔とでもいうようなちょっと悪い顔をしていますね。

にんげんの外出を確認したねこは、秘密の抜け穴からこっそりと抜け出して、いろんなところにでかけていきます。

そうして、にんげんに邪魔されない休日を堪能するんですが、にんげんが返ってくる頃には

「ずっといいこで待ってたんですよ!」

という、黒目クリクリのきゅるるんとした顔で玄関で出迎えるシーンで終わります

それまでの目付きの悪い猫はどこにいったのか!というくらいのかわいこちゃん。はたして、どちらが本当の姿なんでしょうか?
この顔がまたとってもかわいいので、ぜひ実際の絵本を手にとって見てもらいたいもんです。

また、読んでもらうと気づくと思うのですが、猫が抜け出す前にはきれいに整えられていた部屋が、戻ってきたときにはひっちゃかめっちゃかに荒らされています。

猫は留守番中にこっそりでかけているというファンタジーなのか?
それともひっちゃかめっちゃかになった部屋を見て「こういうことをしてるつもりで部屋の中で遊んでいたんだろうな」と想像して描いたものなのか?

作者のインタビューを見ても、そこまで言及されていませんのでどうなのかわかりませんが、ホントはどうなんだろう?と思わせる謎を残しておくのがいいですね。どっちなんでしょう?

ちなみに、以前に紹介した「ネコヅメのよる」と対になる作品のようで

ねこはるすばんが昼間の猫の謎ならば、ネコヅメのよるは夜の猫の謎について描かれています。

同様に、去勢された「さくらねこ」も登場してたりして、そういうところからも、イラストからも猫愛をびんびん感じます。

猫の好きな方「うんうん」頷きながら読んでみてください。

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