天女銭湯 作 ペク・ヒナ 訳 長谷川義史

ドッチが母親とでかけた近所の銭湯。お気に入りの水風呂の中で遊んでいて、気がつくと謎のばあちゃんが現れた。自分のことを天女だというばあちゃんと水風呂遊びを堪能して、お礼にヤクルトをプレゼント。

煙突があって、番台があって、ケロリンの桶があって、というステレオタイプの銭湯は、実は田舎にはもう存在しません。

少なくとも10万人以下の規模の市町村では運営を維持できないようで、スーパー銭湯形式の大規模なところはいくつもありますが、町中の小さな銭湯というのはすっかり駆逐されてしまい、少なくとも人口10万人以下の地域ではもう存在できないのではないでしょうか。

東京でやすいビジネスに泊まった時に、たまたま近くにイメージ通りの小さな銭湯があってびっくりしました。銭湯って田舎にあるっぽいイメージなんですが、実は人口の多い都会じゃないと運営できないんでしょうね。

実はこのお話の作者は韓国人。舞台も韓国です。
韓国の銭湯事情はわかりませんが、こんな下町にありそうなステレオタイプの銭湯が実は韓国の銭湯だというのがびっくりします。

作品の中では人形が使われているのですが、これがまたなんというかコミカルで表情豊か。天女というのは名ばかり?のババアなんですが、このババアが絵に書いたようなだらりと垂れたおっぱいにだらしのない腹回り、美味しそうにヤクルトをすする表情など、無駄にリアルに作り込まれています。

そして翻訳は長谷川義史さんで、バリバリの関西弁。これがまたぴったり。
起用した人はほんとにすばらしい! 登場人物もじゃりン子チエにでもでてきそうなアクの強そうな人ばかり。絵柄的にも関西弁がぴったりなものですから、そもそも日本向けに作られたのでは?と思ってしまいます。

そういえば、写真を使った絵本って意外にないかも?
図鑑系はたくさんありそうですが、物語になってるのはあまり記憶にありません。
「ひよっこ」のオープニングの田中達也さんが絵本を出すというのはちょっと気になってますが、それくらいかな? 知ってる方、教えてください。

youtubeでメイキングがあった! これもまた面白い。

最後に出てくるハングルのタイトルを翻訳したら「長寿湯先生」と出てきたので、もしかしたら原作は設定が天女ではないのかな? なかなか興味深いです。

おすすめの記事