字のないはがき 原作 向田邦子 文 角田光代 絵 西加奈子
戦争が激しくなって疎開することになった小さな妹。住所を書いたはがきをたくさん渡され、元気な日には○を書いてポストに入れるようにと言われた妹から、大きな○が書かれたはがきが届いた。しかし、徐々にその○は小さくなって、ついには×になってしまう。
2020年の第一回親子で読んでほしい絵本大賞を受賞した作品です。
僕も加入しているんですが、JPIC読書アドバイザークラブというのがありまして、そこで選ばれた作品だったりします。
この「字のないはがき」ですが、今も載っているのかわかりませんが、中学校の国語の教科書に載っていたみたいですね。
たくさんのはがきを持たせる父、それに応えてはがきに○を書いて出す妹、帰ってくる妹をかぼちゃを並べて精一杯にもてなして迎えようとする家族、痩せた妹を泣きながら抱きしめる父。あふれるほどの愛が描かれているから、余計に戦争の悲惨さが伝わっているような気がします。
妹がこのまま亡くなってしまったらどうしようと心配したのですが、最後に「おおきくなって」とあってホッとしました。
それにしても、とんでもないビッグネームが3人並んでいます。
角田光代さん、西加奈子さんは現役で小説書いてるのでわかるのですが、向田邦子さんはテレビドラマの脚本家だという認識でしたが、直木賞取ってらっしゃるんですね。角田さん、西さんともに直木賞を受賞されてるので、直木賞作家3人による共作というのは他に存在しないんじゃないかと思います。
多分、今後もこんなめちゃめちゃ豪華メンバーによる絵本なんて出ることはないと思うので、その点でも一見の価値ありじゃないかと思います(笑)。