がっこうにまにあわない 作 ザ・キャビンカンパニー 出版 あかね書房

寝坊してしまった。7時47分、カウントダウンが始まる。このままでは学校に間に合わない。走っても走っても学校にたどりつかない。歩道橋はぐにゃぐにゃ、角を曲がれば大きな犬が、今日に限って電車が長くて踏切がなかなか開かない。全力で走る僕を待っていたのは・・・

絵本の紹介もこれで3年目に突入しました。コロナ禍でもなにかできることを、実績として積み重ねて、自分にもプラスになることと思って始めたことですが、我ながらよく続いていますね。

アウトプットのためにはインプットが必要なわけです。これがあるお陰で継続的なインプットを続けていけるわけで、実績としてはどうなのか微妙ですけど、自分にプラスになっているという点では非常にメリットがあるよなと思っております。

今年も続けていきたいと思ってますので、みなさんのオススメもありましたらぜひ教えてください。

そんなわけで、今回紹介する「がっこうにまにあわない」です。
表紙に描かれた、通学路に現れた白いワニと塀の上を走る機関車、いまにも歪んでしまいそうな8時を指す時計

昔、江口寿史の「ストップひばりくん」という漫画に、「白いワニ」というのが度々登場してきました(今思うと、LGBTの走りみたいな漫画でしたね、これ)

パニックになると現れて「白いワニが、白いワニが~」とうなされるのを見て、精神が錯乱して幻が見えるのね、と当時小学生だった僕は思っていたんですが、今調べてみると、白いワニというのは、締切が迫ってきても真っ白なままの原稿用紙がモチーフにしてたんですね。なるほど。

ということを、表紙の白いワニを見て思い出し、つまりはそういうパニックになって幻を見たというようなお話なんだろうなと勝手に想像していました。

急いでも急いでも前に進まないような感覚、息があがって歩道橋までぐねぐねしてる感じ。苦手な犬が今日に限って現れて、しかもそれがいつもよりも更に大きく見えたりして、更に電車はいつもよりも長いような気がする。

パニックになった頭では、いつもの道さえとんでもないもののように見えてくる、なるほど予想通り。学校に到着しても、子供たちは校庭に集まり、全員がサングラス姿で、なるほどこれもパニックによる幻影かと思いきや・・・ このオチはこれまでのストーリー展開からも絵柄からも全く想像していませんでした。

ここまで書けば、なんとなく想像がつくかもしれませんが、最後は科学絵本になります。そうか、そうきたか! 子供の頃特有の豊かな想像力をちょっと不気味な絵柄で描いている、それがテーマの作品だと思いこんでいたものですから、これはすっかりやられました。面白いです。
ただ、表紙の白いワニは作中では緑色だったので、ひばりくんは全く関係なかった模様です。なーんだ。

おすすめの記事