いただきます。ごちそうさま。

作 あさのあつこ 絵 加藤休ミ 編 東雅夫 出版 岩崎書店

なんでもたべます。たべられます。僕は食べるのが大好き。なんでも食べて、どんどん食べて、どんどんどんどん大きくなります。なんでもたべます。たべられます。

いただきます。ごちそうさま。というタイトルで、絵が加藤休ミさんです。

加藤休ミさんの絵本は先日の「デリバリーぶた」でも紹介しましたね。
クレヨンで描かれた、めちゃめちゃ美味しそうな食べ物がいっぱい出てくるような絵本だろうな! しかも、「バッテリー」のあさのあつこさん作なわけで、きっと面白い話なんだろうな、もしかしたら子供の食育にもいいんじゃないかしら? なんて思って読まないようにしてください。罠です。

というのも、これは「怪談えほん」シリーズの中の一作でして、なかなかに怖い作品です。

ボイストレーニングに行って、そこで読み聞かせも練習しているんですけども、そこで「たまには怪談なんかどう?」と言われました。自分の読みたいと思ってる方向性とはちょっと違うんですけども、これはちょっとおもしろいんじゃないの?ということを思って、何冊か買ってみた中でみつけた作品です。

序盤は内容的にも全く怪談っぽくなくって、ほのぼのとした話、なんだけど、なんだか絵がおどろおどろしい。おいしそうなはずの霜降り肉の脂肪のサシ具合まで不気味に見えてきます。

話の展開もどんどん気持ち悪い話になってきます。最初はおいしそうな食べ物を食べていたのが、吠えかかってきた犬、悪口を言う同級生とどんどんエスカレート、絵もなかなかに衝撃的になってきます。

そこまでも怖いんですが、ラストもまた衝撃的で、えええ、そういうこと?という更に怖いオチ。繰り返される「なんでもたべます たべられます」はもしかしたらダブルミーニングだったのかしら?こわっ。

ただこれ、読み聞かせよりも自分で読むのに向いてるように思います。読み聞かせだと最後の結末、「いただきます。ごちそうさま」が今までは子供の発言だったのが、そこだけ子供が言ってるんじゃないというのがすぐにバレちゃいそうですね。

この作品のツボとしては「意味がわかるとさらに怖い」ってところじゃないかと。自分で読んだほうが最後もじわっと怖さが広がってきそう。でも読み聞かせで読んでも面白そうなのは間違いないんですけども。なんか怖い夢見そうです。

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