さんまいのおふだ 文 石橋洋司 絵 大島妙子 出版 講談社

和尚さんのおつかいで山に入った小僧。日暮れになって困ってたところを親切に泊めてくれたオババの正体は実はヤマンバ。逃げ出す小僧を追い詰めるヤマンバ、果たして小僧は逃げ切れるのか・・・

講談社が、全国訪問おはなし隊という絵本を積んだバスで全国を回るって事業をやってます。

それの読み聞かせで参加したことがあるんですが、その時の隊長さんが読んだ本がこれでした。

日本の昔話なんてのは、地味な話が多いというような先入観でいたのですが、なんというかびっくりするくらいにサスペンス。ハラハラドキドキで緊迫感からラストのどんでん返し。非常にクオリティの高い話だと驚かされました。

こういう、絵本って思ってる以上に面白いじゃん!という積み重ねが、今の僕の活動に繋がってるものだったりします。子供向けだ、所詮昔話だ、なんて思ってたのが恥ずかしい、こんな面白かったんだというのを、もっと沢山の人に知ってもらいたいという気持ちです。

ヤマンバから逃げ出すために、和尚さんからもらった三枚のお札を一枚ずつ使います。一枚目は柱に貼り付けて代わりに返事をさせ、二枚目は川を出現させ、三枚目は巨大な砂山を出現させ、なんとかお寺に逃げ帰ります。

似たような話もあるよなと思い調べてみたんですが、このスタイルは、「呪的逃走譚」と呼ばれ、追ってから逃げるために、物を投げて逃げる、その際に投げたものが変化することで逃走を助けるという形式だそうです。

古くは古事記、日本書紀までさかのぼり、イザナギが黄泉醜女から逃げるために、投げた髪飾りが葡萄になり、櫛が筍になり、なんてものがこれにあたるとのことですし、海外の神話の中でもよくある展開なんだそうです。

なるほど、そう思うと、こないだアマゾンプライムで見た映画「ワイルド・スピード MEGA MAX」のラストで様々な作戦を駆使しながら逃走するシーンからの最後のどんでん返し。呪的ではないんだけど、これに近い、いや、近くないか?笑 でも、ちょっと思い出しました。日本昔ばなしもなかなか侮りがたいです。

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