のせてくださいな 作 みやけゆま 出版 BL出版

「のせてくださいな」乗り物に乗りたいクロヒョウが、バス停でバスを待っています。「おぎょうぎよくのれるなら」と乗せてもらったけれど、お行儀良くできるのでしょうか。

隅々まで書き込まれている作品が好きです。

元ネタはなんだろうとか、ツッコミどころがたくさんあったりすると、細かいところまで楽しめます。

動物園前のバス停からクロヒョウが乗るシーンでは、後ろに動物園の建物が少しみえるんですけど、旭山動物園のオランウータンの行動展示のための綱渡りのタワーっぽいものが描かれています。

隣の建物がなんだろう、動物の檻っぽいなと思って調べてみたら、どうやら神戸の王子動物園の猛獣舎だと思われます。

クロヒョウがタクシーに乗る場面でも、後ろの本屋さんの店頭には、作者の書いた前作「チーターじまんのてんてんは」が並んでいます。

クロヒョウがスクーターにのる場面でも、並んだお店の名前が「山猫写真館」「サロンジャガー」「Cafe Lion」となってます。隣の八百屋は名前が無いぞと思ってよく見ると、店主の前掛けには「まめとら」と書いてありました。

絵本の楽しみ方って、ストーリーを楽しむのはもちろんなんですが、こうやって細かい描き込みを楽しめるというのも魅力です。

一回読んだら終わりじゃなくって、後で何度も見返すことで、また新しいことが見つけられたり、みたいな。

一回読むだけなら図書館で借りれば十分なんですが、こうやって細かいところを見て楽しもうと思うと、やはり手元においておきたいなと思って買ったりするわけですよね。まんまと乗せられているといったらそれまでなんですけど笑

クロヒョウというと、ちょっと怖い動物のはずなんですが、広角が上がってて、なんだかとても優しそうな、人間くさいかんじのクロヒョウなのがいいですね。

水彩画なんでしょうか、色彩が鮮やかで、明るい街並みがなんかヨーロッパっぽい感じもするんだよな、と思ったら、作者が神戸在住ということなので、そうか神戸の街並みなんでしょうね。

面白かったので、前作のチーターのお話も読んでみたいと思います。

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