空からのぞいた桃太郎 作 影山徹 出版 岩崎書店
むかし むかし あるところに おじいさんとおばあさんが くらしていました
おなじみのセリフから始まる「桃太郎」の昔話。その「桃太郎」をいつもとは違った方向から見てみると、あなたの知ってる「桃太郎」とはちょっと違った「桃太郎」の姿が見えてきます。
ふ‐かん【×俯×瞰】 の解説
[名](スル)
1 高い所から見下ろし眺めること。鳥瞰。「ビルの屋上から市内を―する」
2 (比喩的に)広い視野で物事を見たり考えたりすること。また、ある事柄や状況に対して客観視すること。「自分自身を―してみる」
2013年の新聞広告クリエーティブコンテストでグランプリになった作品、ちょっと話題になったので覚えてる方もいるんじゃないでしょうか。

下に書いてある文字が見にくいですが
一方的な「めでたし、めでたし」を生まないために
と書いてあります。「空からのぞいた桃太郎」を読んだら、これを思い出しました。
一方から見たら幸せなことでも、もう一方から見たら不幸なこと
空からのぞいたという言葉は、単なる空中からの映像という意味としてではなく、違った視点から眺めるということを意味しているようです、そして普通の桃太郎の解釈とはちがった桃太郎を見せようとしています。
おじいさんとおばあさんの家がちょっと裕福そうに描かれていたり、それに比べて犬と猿とキジの住処がとても過酷な環境として描かれていたり、鬼ヶ島で暮らす鬼たちがとても幸せで楽しそうに描かれていたり、普通の桃太郎では気づかなかったような、読んでて「あれ?」と思うところがわかると思います。
で、ちょっとどうかなと思う点なんですけども、ここらへんの解説が、付録の小冊子の解説書にまんま書いてあるんですよね。
うーん、ここまで詳細に種明かししてしまう必要はあったのかなぁ?という気もします。
隠された本意というのは、隠されているからいいのであって、あからさまにしてしまうのは無粋じゃないかと思いつつ、物語の真意を正確に読者に伝えることも重要であることは確かです。
ここらへんは好き嫌いが分かれるように思います。
個人的に思うことですが、そこらは読者に委ねるべきではないのかという見方もありますが、こういう本ですよと明らかにしなかったら話題にもならなかったかもしれないという見方もできます。
桃太郎をいろんな見方で考えるだけでなく、表現のありかたについてもいろんな見方で考えようとしていると考えるのはきっと考え過ぎでしょうが、なかなか興味深い本です。