おじさんのかさ 作・絵 佐野洋子 出版 講談社
おじさんは、りっぱな傘を毎日持ち歩いているのに、傘を一度も指したことがありません。なぜなら傘が濡れるからです。
ある日、傘を持ったまま雨宿りをしているときに、子供が楽しげに「雨が降ったらポンポロロン」と歌うのを聞いたおじさんは、「ほんとかなぁ」と雨に向かって傘を開きます。
作者の佐野洋子さん、「100万回生きたねこ」が有名ですね。「わたしクリスマスツリー」という、クリスマスツリーになる夢がやぶれたもみの木の話が大好きです。
傘が好きなおじさんの話という、大変に地味な話です。動物でもなく、コックさんでもなく、力持ちでもなく、普通の傘が好きなおじさんという、主人公としてはものすごくパンチが足らないわけです。持ってる絵本を眺めてみたんですが、これ以上に地味な主人公はいませんでした。
でも、これがまたじわじわっとしたいい話です。
おじさんにとって憂鬱だった雨の日でも、これからはウキウキして雨の日を待つことになるんでしょうか。
それもまた、すごいハッピーエンドじゃないんですけども、じわっとハッピーな感じ、ちょっとだけ楽しい未来を感じられる終わり方が、程よくいい感じです。
「保存用」「観賞用」「布教用」の3つ買うのがオタクの嗜みだと思っていたのですが、もともとは、18世紀のイギリスの書籍収集家、リチャード・ヒーバーの「紳士たるもの、書籍は3部所持するものだ、一部を見て、一部を使い、一部を貸し出すのだ」という言葉が元ネタのようですね、調べてびっくりしました。
おじさんも、そんなに傘が気に入ってるのなら傘を3本購入するべきだった、という話では有りませんね。
でも、このおじさんが本当のマニアではなかったかと言うと、そうでもなくって
「ぬれたかさもいいもんだな」とうっとりと眺めたり、傘立てに置いた濡れた傘を何度も見に行くなんてところは、それでもなかなかの傘マニア、というよりも傘フェチなんだろうなと思います笑。
梅雨に入って、今週予定していた花フェスタでの大道芸がすべて中止になっています。次は金曜の予定ですが、そこも大雨予報です。
でも、予定が潰れてダラダラするんじゃなくって、次に繋がるなにかにしようと思って、いろいろ申請の書類作ったり、いろいろしております。
こんな時期ですが、ちょっと楽しい未来が来ますように。