3びきのかわいいオオカミ 作ユージーン・トリビザス 絵ヘレン・オクセンバリー 訳こだまともこ 出版 冨山房
ところがこのブタ、悪いのなんのって もうとんでもない悪ブタだったんです
3びきのかわいいオオカミが作った煉瓦の家をハンマーでたたき、コンクリートの家を電気ドリルでめちゃくちゃにし、鉄板と鉄骨でつくった家をダイナマイトで吹き飛ばします。命からがら逃げ出した3匹のオオカミは、今度は花をつかって家を建てることにしました。
元ネタはご存知「3びきのこぶた」
子豚たちがやっとのことでたどり着いた煉瓦の家を早々に作ってしまうのでどうなることかと思ったら、作る度にどんどんぶっ壊されていく。息で吹き飛ばされるような生易しいもんじゃない。
3びきのこぶたのオオカミは最後まで息で吹き飛ばそうとしていたはずですが、ブタはさすがの悪ブタです、息では吹き飛ばないと思ったらどんどん出てくる新兵器。
ブタの要求は「家に入れろ」という一点なのも恐ろしい。ブタを食べるためにブタの家を破壊するオオカミはまだわからないでもないですが、家に入れてくれないから家を破壊するというのはもうめちゃくちゃです。
そんな悪ブタも、うつくしい花でできた家を鼻息で壊そうとして息を思いっきり吸ったところで、ステキな花のかおりに心が洗われたブタは、すっかり良い豚になり、タンバリンをもって踊り始めます。ブタの目的は結局よくわかりません。
翻訳なので元ネタはわからないのですが、
ところがこのブタ 悪いのなんのって とんでもない 悪ブタだったんです
きゅうすのなかのお茶の葉がきゅうきゅう騒いだってぜったいにいれてやるもんか!
なんてセリフが繰り返しでてきますが、リズミカルで楽しげな訳で面白いです。
急須のお茶がきゅうきゅう騒ぐなんて言葉は英語でも日本語でも存在しないっぽいですが、個人的にはとても気に入っているポイントです。
作者のユージーン・トリビザスさんは、イギリスの大学で犯罪学を教え、ギリシャの法務省では名誉顧問も務めているそうです。
そのことからすると、このとんでもない悪ブタの行動というのは、なにか犯罪学的に根拠があっての行動かもしれません。
対抗されればされるほど、ムキになって強硬手段に出てくるとか、そういう人ほど美しいものを見て改心する傾向があるとか?
とりあえず、プー○ンや金○恩にもきれいなお花をたくさん贈ってみたらどうかなぁなんて思ったりするのです。