ネコヅメのよる 作 町田尚子 出版 WAVE出版

「まちがいない こんやだ」
ネコヅメのよるに、猫たちはこっそりと家を抜け出し、集会を開きます。
夜空を眺めているたくさんの猫は、ネコヅメが現れるのを今か今かと待ち望み、現れたネコヅメを目を細めてうっとりと見つめます。

表紙の、睨むような視線で爪をなめる怪しげな猫を見て、猫がでてくるホラーな絵本だと思っていました。

妖怪ネコヅメ? いや、もっと精神的に怖いみたいな、ぞくっとして終わるような絵本。

読んでみたら全然違いました。
夜中にこっそりと家を抜け出す猫が、一体何をしているのか想像したのでしょうか。もしかしたら、抜け出した猫をこっそり付けていったらこんなことしてた!という実話なのかもしれません。

町田さんの描く猫(漢字にすると分かりづらいですね)からは、猫に対する愛をビンビン感じます。ヒゲ、眉毛から、虹彩の書き込み、アップにするときのアングル。猫大好きじゃないとこんな絵はかけないでしょう。

登場するたくさんの猫たちをよく見てみると、耳をカットされた猫がたくさん出てきます。

ケンカをして噛み切られたのではなく、猫の保護活動をしている団体が、野良猫を保護して避妊手術を行っているそうです。避妊手術済みであるしるしとして、耳をカットしているんです。

僕がよく行っている大高緑地でも保護活動をしている団体があって、活動のちらしを目にしたことがあったので知っていたのですが、こうやって野良猫が増えないように活動している団体はいくつかあるようです。

こういう猫を「さくらねこ」というそうです。
避妊手術後には、猫はまた同じところに戻され野良猫として行きていくのですが、この作品に登場する「さくらねこ」は首輪を付けている猫もいます。
処置された後に飼い猫として引き取られたということなんでしょうが、そういうところからもなんだかとっても猫への愛を感じませんか?

あとがきを読んでも「猫と暮らしたいと思ったら譲渡会へ」とあるので、ものすごいガチな方なんだと思います。
なまえのないねこ もオススメです。こちらはとってもかわいらしい感じです。

こちらにも「さくらねこ」が何匹が登場してます。

うちの本棚を眺めていて気づいたのですが、タイトルに「ねこ」がつく絵本はいくつかあるのに、犬の絵本はありません。

ざっと見ただけで

ネコヅメのよる の他に
なまえのないねこ
サイモンは、ねこである
あばれネコ
私はネコが嫌いだ。
わたしはあかねこ
ねこなんていなきゃよかった
ネコのタクシー

ネコの次はオオカミ、そしてライオンが続きます。しかし、いぬは一冊もありませんでした。

これは確かめねばと思い、岐阜県図書館の蔵書検索で調べてみました。

絵本を含めて児童書で検索してみたのですが、ねこがつくので1172件

対して犬は589件でした。

ネコヅメのよるでもそうなんですが、なんとなく、ミステリアスな感じが絵本にしやすいのかもしれないですね。

納得できないなぁと外を眺めています。

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