パンツはながれる 文 林正博 絵 殿内真帆 出版 福音堂書店

川に洗濯にいったおばあさんは、おじいさんの縞のパンツを川に流してしまいます。
捕まえようとしてもするりするりと逃げるパンツ、自転車で追ってもおいつけません。パトカーで呼びかける警官を水しぶきをかけて逃げていくパンツ。非常線を張って待ち構える警察官、臨時ニュースが流れ、逃げるパンツを一目見ようと集まった人だかりの中、川上警察パンツ捕獲特別本部の用意した秘密兵器が川下に現れます。パンツくんの運命やいかに・・・

「パンツ」がつくだけでなんとなく面白そうな気がします。

シンプルな絵本かとおもいきや、文字数は結構な分量なのですが、テンポよくするすると読める内容です。
福音堂書店のランドセルブックスシリーズとのことで、シリーズ名の通り、小学生向けのお話のようです。どちらかというと一人で読む方なのかな。

パンツを取ろうとしても逃げてしまって捕まえられない、という展開はよくありそうな話なんですが、パトカーからマイクで呼びかけるあたりから、超展開の様相を呈してきます。

流れていただけのパンツが、いつの間にか臨時ニュースが流れ、人々の応援を受けながら、警察の秘密兵器と対峙しそれを乗り越えて海に帰っていく(??)
警察も最後にはパンツの頑張りを認め、なんだかよくわからないままに感動的に終わります。

なんでそうなるの?という展開が続く中、臨時ニュースや、レポーターの警察へのインタビューなど、悪ノリした脱線が始まったりします。

この不思議なゆるい感じはなんだろうと思ったら、最後の作者の紹介のところでわかってきました。

物語のベースは、寝る前に枕元で喋って聞かせていたオリジナルのおはなしだそうです。

のっけから「なぜ川に洗濯に行くのかとういうと、その川には温泉が流れ込んでいて、水がとても暖かいからです」なんて説明があったりするのですが、なるほど、適当に話し始めたオリジナルのお話に、「なんで洗濯機で洗濯しないの?」とでも聞かれたような感じです。
そして喋ってるうちになんか面白いこと思いついちゃったんでしょうね、悪ノリして脱線していく感じ、なんだかよくわかる気がします。

その悪ノリがいい感じのバランスなので、予想のつかない展開で、なんでそうなっちゃうの?とどんどん読み勧められる感じ。

一人で読んでも面白いですが、読み聞かせで読んでも絶対面白いです。
臨時ニュースや警察無線を工夫して読むと楽しそう・・・ちょっと長いですがぜひお試しください。

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