今年は20年に一度の「やまがみさままんぷくまつり」が開催されます。山の向こうから現れる山神さまにお供えする巨大弁当を村中総出でつくります。

山神様にお供えするための大きな弁当をつくるというのは、きっとその伝承は何百年と前から言い伝えられていて、実際にモデルになった村なんかも実在するんだろうな。だからきっと、物理的に大きな神様というのは存在してないんだけど、大きな存在としてそのサイズに合わせた大きな弁当を用意するんじゃなかろうかと、そんなことを想像しながら読みました。

いや、ぜんぜん違う。
きょだいべんとうは本当に巨大で、山形の巨大芋煮会のように、重機を使って調理をします。食材だって巨大で、子供の頭ほどある、巨大なお米や、巨大な野菜、お肉はマンモスの肉です。爪楊枝だって大工の職人さんがカンナで削って手作りで作っています。

巨大な神様だってもちろん実在します。山程の高さが有るんじゃないかというサイズ。そして、昔話だとか伝承だとかからは想像もつかないような見た目。むしろ丸大ハンバーグ。ハイリハイリフレハイリホー!

ありそうなふりをしておいて、実はトンデモ設定のファンタジー絵本でというのがおもしろいところですが、更にウォーリーを探せ的な楽しみ方ができるのがこの作品の面白さです。

お父さんに肩車された5歳の「ぼく」の一人称で語られるんですが、その僕とお父さんが、いろんなところに登場しています。あ!こんなところにも!ってめちゃめちゃ細かいところにも描かれています。個人的な話ですが、最近、手元が見えづらくなってきてしまっているので特に探すのが大変です。老眼って怖い。

やまがみさままんぷくまつりは、村を挙げての非常に大規模なお祭りのため、それはもうたくさんの村民や観光客などが作品の中に登場してきます。弁当が巨大すぎるため、人間はめちゃめちゃ小さく、まさに米粒大にたくさん描かれています。

表紙の裏側には登場人物紹介として、数十人の登場人物が紹介されています。普通の人間から、金持ちの王様、役場で働くちんどん屋、サーファーにミュージシャン、宇宙人から妖怪まで。いろんな人?がたくさん。

作品内ではちっさく登場するだけで、しかもこの何十倍もの人で溢れているんですが、不思議なことに、そのそれぞれが有象無象のモブキャラではなく、それぞれに細かな設定がある魅力的な登場人物のように思えてくるんですよね。それもこれも圧倒的な書き込みの為せる技なのでしょう。

マンモスの肉はわかるんだけど、この鮭は?エビフライは? でもなんで卵焼きは普通の卵でつくってるわけ?などと色々と突っ込みたいところもたくさんありますが、そういうツッコミも含めていろいろと楽しめるのでじっくりと細部まで、大人はハヅキルーペでも準備して読んでみてください。

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